前回は折立から薬師岳までの記録でした。
今回は薬師岳の夜のお楽しみの記事です。
目次
薬師岳での夜に備えて
季節は夏。薬師岳山頂では雲に敗北し、展望は望めませんでした。しかし、山荘に戻ると天気が回復してきます。
日没までの間のひと時を外で過ごします。山で過ごす日没までの間がすごく好きです。
なんとも言えない静寂があたりを包んでいく感覚。言葉では言い表せない美しさがあります。
ブロッケン現る
山小屋の外に出てから虹が出ていることに気づきます。
曇ったせいでしょうか。何やらずいぶん小さな虹があるような・・・
そう思っていると、現れました。ブロッケンさんです。
ブロッケン現象とは、雲粒などによって散乱し、見る人の周りに虹ができる現象。
ドイツのブロッケン山でよく見られたことから、名前の由来となった。
古くは丸い虹の中に人が立つ様子から、神様の降臨であるとも考えられ、ご来迎とも呼ばれる。
山岳現象ではよく見られるもの。
朝や夕方の雲が晴れてきたときに見られる現象です。人生初のブロッケンが薬師岳というのは感慨深いものがありました。
きれいな二重の虹が見え、ただ写真を撮ります。
しかし、ブロッケンよりも写真の枚数があったのは、五郎さんでした。
なんと雄大なんでしょう。黒部五郎に登ってみたいともっと思うようになる瞬間でした。
槍ヶ岳もうっすらですが、姿を現します。
やはり槍はどこから見てもその姿がわかりやすい。蝶ヶ岳で見た槍もよかったですが、近すぎると、その姿は大きすぎる。
登る山によって槍の見え方は様々ですが、どこに登っても槍はかっこいい。
山の一日の終わりに
日が沈み、一日が終わろうとします。山で過ごす夕暮れは、なんとも言えない哀愁が漂います。
決して日常では感じない、一日が終わる愛おしさ。そういうものを強く感じることができる瞬間です。
夕暮れに赤くなる槍ヶ岳を見ることができるのは、槍の西にある山だけ。きれいに槍が赤く染まっていきます。
日が完全に落ちると、静寂が辺りを包んでいきます。本当に一日が終わったのだな。と思う瞬間です。
太陽が沈むと、夜が訪れます。夜の訪れは急にやってくる。辺りが暗くなるのは、一瞬の出来事のように思え、風は冷たく吹いてきます。
夜は寒くて冷たい。
山で過ごす一日は、昼と夜がはっきり分かれていて、とてもきれいです。
薬師岳での満天の星空
午後9時には消灯です。午後8時くらいから、みなさんお休みモードだったので、布団に入り、体を休めます。午後10時くらいでしょうか。目が覚めます。
山に泊って夜に目が覚めると、外の偵察に出かけます。
一面に広がる星を見るためです。
この星空は山でしか見えないと思っています。星が目の前にあるような気がします。
最初に見たのは立山で、そのときの天の川が忘れられません。
ちょうど火星が接近しているときで、天の川の左に火星が赤く光っていました。
富山方向は明るく光ります。人の明かりというのはまぶしいものです。しかし、静かな夜を照らす人の明かりは、力強さの象徴であると感じます。
しばらく星を眺めたあと、山小屋に戻ります。そうすると雲が出てきて、それ以降は雨も降る天気となりました。
2013年に立山で星空を見てから、5年越しに山できれいな星空を見ることができました。
いつもザックには明るいレンズが入っているのですが、ようやく使うことができました。
続く。
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